江戸時代の子どもの「口上」と現代の子どもの「挨拶」


 江戸時代の子どもは、武家や商家に生まれると、幼いころから「口上」と呼ばれる挨拶や礼儀作法を学びました。
5歳や7歳といった幼い年齢からでも、人の前に出て「ただいま参上仕りました」「よろしくお願い申し上げます」といった定型の言葉をはっきりと言えるように訓練されていたのです。これは単なる言葉の暗唱ではなく、社会の中で生きるために必要な礼儀や、人への敬意を形にする大切な学びでした。

 一方で、現代の子どもたちの中には、挨拶がうまくできなかったり、人前で言葉を交わすことを恥ずかしがる姿も少なくありません。「おはよう」「ありがとうございます」「お世話になっています」「よろしくお願いします」といった基本的な挨拶が定着していない場合、学力以前に人間関係の築き方や社会性に課題が生じることがあります。

 教育の原点は「人とのつながり」を大切にすることです。江戸時代の子どもたちが口上を通して「礼」を学んだように、現代の子どもたちも「挨拶」と通して「礼」を学ぶことが第一歩です。
保護者の皆さまが日常の中で、子どもとともに挨拶を交わし合う。それだけでも子どもの人間力は大きく育っていきます。

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