相手の伝統と文化を知る②

私たちは、ふだん無意識のうちに「自分の常識」「自分の当たり前」で物事を見ています。しかし、人や組織にはそれぞれに歩んできた道があり、価値観や判断基準もそれぞれ異なります。背景を知らなければ、つい「どうしてそんな考え方をするのか」「なぜこんな習慣があるのか」と疑問や違和感だけが先に立ってしまいます。

背景を知るということは、その人や家族、組織がこれまで大切にしてきた「物語」に耳を傾けることです。時代背景や苦労、選択の積み重ねが今の姿を形づくっていると理解できたとき、初めて表面的な違いを越えて、心からの敬意が生まれます。

この「敬意」は、単なる礼儀ではありません。「あなたの存在には意味がある」「あなたの選んだ道には理由がある」と認めることです。その尊重が、相手にも安心感と信頼を与えます。そして、その土壌の上に立ってこそ、対話が深まり、お互いに耳を傾け合えるようになります。

相手の立場や歴史に思いをはせること——それは「一歩引いて見る謙虚さ」であり、「共に生きようとする姿勢」でもあります。

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