「その考え方から離れられないと人は鬱状態になる」というのは、
心理学的にいうと認知の硬直化や**反すう思考(rumination)**のことを指します。
つまり「ある特定の思考パターン」や「見方」に固執し、頭の中で同じことを繰り返し考えてしまう状態です。
具体的な例を挙げながら、一緒に考えていきましょう。
目次
1. 過去にとらわれるタイプ
- 例:「あの時こうしていれば…」「失敗しなければ…」と何度も思い返す
- 過去の出来事を繰り返し再生し、自責や後悔から抜けられない
→ 前向きな行動エネルギーが奪われ、気分が沈む
2. 完璧主義から抜けられないタイプ
- 例:「100点でないと意味がない」「失敗は許されない」と考える
- 常に高い基準を自分に課し、それを達成できないと強く落ち込む
→ 日常の達成感や満足感が得られにくくなる
3. 自己否定が習慣化しているタイプ
- 例:「どうせ自分はダメだ」「他の人より劣っている」と思い続ける
- 小さな失敗や批判でも、自分の存在価値全体を否定してしまう
→ 自信の喪失と抑うつ的な感情が固定化する
4. コントロールできないことに執着するタイプ
- 例:「あの人の考えを変えなければ」「社会や環境が悪い」と考え続ける
- 自分では変えられないことにエネルギーを注ぎ、無力感を強める
→ 無力感の蓄積がうつ状態につながる
5. 未来への悲観にとらわれるタイプ
- 例:「これから悪くなるに違いない」「どうせ失敗する」と考える
- まだ起きていないことをネガティブに予測して動けなくなる
→ 希望や行動の意欲が削がれる
💡 ポイント
このような「抜けられない考え方」は、本人からすると“正しい”や“当然”に感じるため、自覚しにくいです。
しかし、考え方が偏ったまま時間が経つと、感情も行動も同じ方向に固定され、うつ状態に近づきます。
心理療法では、この固定された思考を少しずつ広げるために「認知の柔軟性」を取り戻す練習をします。