近年、読み・書き・計算や体操などを幼児期から積極的に行わせ、成果を強調する教育法が以前、注目を集めていました。しかし、そのような方法には注意が必要です。
第一に、子どもの発達には大きな個人差があります。同じペースで競わせるようなやり方は、発達がゆっくりな子に「劣等感」や「自信喪失」を与えかねません。
第二に、「できる・できない」という成果に偏りすぎるため、本来幼児期に育まれるべき「遊びから生まれる探究心」や「人と関わる力」が後回しにされる危険があります。人間形成にとって重要なのは、点数や技能の速さよりも、主体性・好奇心・協調性です。
第三に、早期に詰め込まれたスキルは、小学校以降に失速するケースも少なくありません。学びの土台である「学ぶ楽しさ」や「考える習慣」が十分に育っていなければ、学力は長期的に伸びにくいからです。
つまり、一見“成果が見えやすい教育”は、短期的な満足感を与える一方で、子どもの心と成長のバランスを損なう危険を持っています。幼児期にこそ必要なのは、「比べられずに安心して挑戦できる環境」であり、「子どもが自ら学びたくなる力」を育てることなのです。