カルロタ・ペレスが示す「技術革命の変遷」は、産業革命以降の大きな技術的ブレークスルーが、社会・経済・生活様式を根本から変えてきた流れを整理したものです。各時代を見てみましょう。
① 産業革命(1771年頃)
- イギリスで始まった産業革命は、蒸気機関の実用化(ワットによる改良)と紡績機械の発明が象徴的。
- 手工業から工場制機械工業へ移行し、生産力が飛躍的に増大。
- 都市化や資本主義の本格的発展が進む。
② 蒸気機関車と鉄道の時代(1829年頃)
- スティーブンソンの蒸気機関車「ロケット号」が登場。鉄道が普及し、物流と人の移動が一変。
- 内陸部と港湾都市が結ばれ、国内市場の統合が進む。
- 「距離と時間の制約」を縮め、産業の拡大と世界貿易の加速をもたらした。
③ 鉄鋼と重工業の時代(1875年頃)
- ベッセマー法などにより鉄鋼の大量生産が可能に。
- 鉄道網拡大、大型船、橋梁、摩天楼などインフラ建設が進む。
- 電気の普及、化学工業の発展、電信・電話の普及など、重工業を基盤とした「第二次産業革命」と呼ばれる時代。
④ 石油・自動車・大量生産の時代(1908年頃)
- フォードがT型フォードを発売し、流れ作業による大量生産方式を確立。
- 石油エネルギーと内燃機関の普及で、自動車・飛行機・石油化学が拡大。
- 郊外住宅地の拡大や大量消費社会の成立につながる。
- 「モータリゼーション」が都市の形とライフスタイルを根底から変革。
⑤ 情報・通信の時代(1971年頃)
- インテルがマイクロプロセッサを発明し、コンピュータの小型化・普及が始まる。
- インターネット、携帯電話、ソフトウェア産業が急速に成長。
- グローバル化が進み、知識・情報が主要な生産要素となる「情報社会」へ。
- 現代のAI、IoT、クラウドへと続く基盤を築いた。